不動産の「査定額」、高い方を信じていいの?専任媒介の裏側を仲介のプロが解説
不動産の「査定額」、高い方を信じていいの?専任媒介の裏側を仲介のプロが解説
「なぜ会社によって査定額が違うのか」その理由
複数の不動産会社に査定を依頼すると、金額にばらつきが出ることがあります。実はこれ、単純な物件の見立ての違いだけが理由ではありません。
不動産会社にとって、査定は「専任媒介契約」を獲得するための重要な商談の場でもあります。専任媒介を取ることが営業マンの数字(評価)に直結する会社も多く、そのために「他社より高い査定額」を提示するのがひとつのセオリーになっているのです。
- 「弊社は潜在顧客を多く抱えているので、他社より良い条件で売却できます」
- 「広告費をかけているので、他社より高く売却できます」
- 「オークション形式で売却するので、より高く売却が可能です」
こうしたトークで、少しでも高い金額を提示した会社が専任媒介を獲得しやすくなります。誰でも「高く売れる」と言われれば嬉しいものですし、50万円、100万円という数字は多くの人にとって決して小さな金額ではありません。しかし不動産会社にとって、この程度の金額差は実はそれほど大きな意味を持たないケースもあります。
そもそも、不動産会社が提示する査定額は「この金額で売れることが確定した金額」ではなく、「この金額で売りに出しましょう」という提案に過ぎません。この前提を知っておくだけで、査定額の見方は大きく変わってきます。
専任媒介を取った後、何が起きるのか
高めの査定額で専任媒介を獲得した後、多くの場合は数ヶ月かけて価格が「適正価格」に調整されていきます。このプロセスには、ある程度決まった流れがあります。
専任媒介を取った営業マンは、2週間に1回程度の頻度で訪問や手紙などによる状況報告を行い、ポータルサイトへの広告掲載など、しっかりと活動していることをアピールします。ある程度条件の良い物件であれば、内覧の予定も入ってくるでしょう。内覧が入れば、双方の予定調整や同行など、営業マン側にもそれなりの労力がかかります。
こうして「営業マンが頑張って売却活動をしてくれている」と売主側が実感できるようになると、3ヶ月ほど経過したタイミングで「これだけ頑張ってくれているのに売れないのだから、少し価格が高いのかもしれない」と、自然に価格見直しを受け入れやすい心理状態になっていきます。
もちろん、「この金額で査定したのだから1円も下げない、死ぬ気で売ってほしい」というお客様もいらっしゃいますが、こうしたケースは稀です。また、表向きの売り出し価格は変えずに、水面下で価格交渉に応じるという進め方をとる場合もあります。
高値競争に乗らないという選択肢
すべての不動産会社が、この高値競争のスタイルを取っているわけではありません。私たちランドアーズでは、まず相場に基づいた金額を正直にお伝えした上で、「せっかくなので相場より少し高めから売り出してみましょう」というご提案をしています。
査定額の競争にはあえて乗りません。意味がないと考えているからです。その代わり、価格決定の主導権はできるだけお客様に持っていただくようにしています。
高く売りたいという希望を踏まえて少し高めの価格からスタートし、その後の反響や実際の引き合い状況を正直にレポートしながら、柔軟に価格を調整していく——いわば「二人三脚」のスタイルです。もちろん、価格調整も含めてすべてお任せいただける場合は、責任を持ってスピーディに対応します。
ちなみに当社へのご依頼は5,000万円〜1億円以下の物件が中心ですが、この価格帯は大手不動産会社では新人営業が担当することも少なくありません。実際に他社と比較検討いただいたお客様から「ランドアーズにして良かった」と言っていただくことも多くあります。
「大手だから安心」とは限らない、ある競合案件の話
これは実際に私自身が経験した話です。ある売却相談で、他社(大手不動産会社)と専任媒介を競合するかたちになり、感触としてはこちらが媒介を獲得できそうな流れでした。
ところがその夜、お客様から連絡が入り、「他社さんのお客さんで3組内覧予約が入っていて、ほぼ決まりそうなので、今回はそちらにお願いすることにしました」とのことでした。「さすが大手は違うな」と、その時は素直に感心したのを覚えています。
ところが結局、その3組の内覧では成約に至りませんでした。それでも専任媒介はその大手が獲得したまま数ヶ月が経過し、後日レインズの成約事例を確認すると、当初の査定価格から約10%低い金額で成約していたことが分かりました。
正直、後味の悪い経験でした。「もう決まりそうなお客様がいる」という話が、専任媒介を獲得するための営業トークだった可能性は十分にあります。もしそうだとすれば、これは実質的にお客様を欺いていることと変わりません。そして経験上、こうした傾向は中小の会社よりも、むしろ大手の方が強く出るケースが多いというのが率直な印象です。
「大手だから、有名だから安心」という考え方だけで媒介契約先を決めてしまうのは、必ずしも正解とは言えません。規模の大きさよりも、目の前で対応してくれる営業マン個人が、どれだけ正直に状況を伝えてくれるかを見極めることが大切です。
査定額だけで会社を選ばないために、営業マンに聞くべきこと
これから複数社に査定を依頼しようと考えている方に、ぜひ意識していただきたいポイントがあります。
査定額の高さだけでなく、「その営業マンから買いたいと思えるか」という視点で見ることです。査定を依頼した営業マンは、これから物件を売る窓口になる人物です。売却が完了するまで継続的にやり取りをしていく相手でもあるため、相性が合うかどうかは思っている以上に重要です。
もうひとつは、連絡の取りやすさです。不動産売却はタイミングを逃すと、売れたはずの物件が売れなくなってしまうことも珍しくありません。休日だからと連絡が取れなくなる営業マンでは、機会損失につながるリスクがあります。
査定額はあくまで入り口の一つの情報にすぎません。その先で長く付き合っていく相手として信頼できるかどうかを、ぜひ見極めてみてください。
最後に、私自身のスタンスについて
私自身、休みの日でも夜間でも、お客様からのご連絡には対応しています。携帯電話の番号は20年以上変えていません。過去にご縁のあったお客様からのご相談にも、いつでも対応してきましたし、どんなトラブルが起きても逃げることはありません。
査定額の高さや会社の規模だけでなく、こうした「いざという時に本当に頼れるか」という部分も、ぜひ判断材料にしていただければと思います。
ランドアーズでは、名古屋エリアの不動産売却について、査定から売却活動まで正直な情報提供を心がけています。査定額の考え方や売却のご相談は、お気軽にお問い合わせください。
