相続した不動産評価額を簡単に計算する方法

はじめに

相続が発生すると、現金や預金、保険金や事業用資産など、多岐にわたる財産を評価しなければなりません。
なかでも「不動産」は、多くの方にとって最も大きな割合を占める資産です。
そこで今回は、相続税の不動産評価相続税の計算方法 を把握するうえで、まず知っておきたい「不動産評価の基本」を紹介します。


建物の相続税評価額は固定資産税通知書で確認

建物の相続税評価額は、実はとてもシンプルです。
市町村から送られてくる 固定資産税通知書 に記載された評価額が、そのまま相続税評価額になります。
固定資産税通知書が手元にない場合は、市町村役場で「評価証明書」を発行してもらえば金額を確認できます。


土地の相続税評価額のポイント

1. 建物のように単純ではない

土地の評価は、建物と違って少しややこしく感じられるかもしれません。
ただ、ざっくりとした「大まかな評価額」であれば、誰でも割と簡単に計算できます。
相続税がかかりそうかどうかを早めに把握しておけば、生前対策にもつながるので、ざっくりとした金額を知っておくのは大切です。

2. 一物四価(いちぶつしか)という考え方

土地には、主に次の4種類の価格が存在するとされています。

  1. 実勢価格 … 実際の売買における市場価格
  2. 地価公示価格 … 国土交通省が公表する価格
  3. 路線価 … 相続税や贈与税の計算に用いる価格
  4. 固定資産税評価額 … 市町村が算定する固定資産税用の評価額

相続税の計算では、原則 「路線価」 が使われます。
(路線価が設定されていない地域は「倍率方式」を用いることになります。)


路線価で計算する場合(路線価地域)

国税庁のウェブサイトで「路線価図」を閲覧し、該当する土地の前面道路に記載されている数字を確認します。
この数字は、1㎡あたり の評価額(単位:千円)を意味します。

例:路線価が「87」と書いてある場合

  • 「87」は87千円、つまり 8万7千円 /㎡
  • 土地が 100㎡ の場合 8万7千円×100㎡=870万円 8万7千円 × 100㎡ = 870万円8万7千円×100㎡=870万円

この計算結果が 路線価ベースの評価額 になります。
ただし、土地の形状や奥行き、間口、道路との接道状況などによって補正が入る場合が多く、実際の相続税評価額は もう少し細かく調整 されることがあります。


倍率方式で計算する場合(倍率地域)

路線価が設定されていない地域では、「倍率方式」による計算になります。
国税庁のサイトで公表されている「評価倍率表」をチェックし、土地の所在する市区町村に応じた倍率を確認します。

計算手順

  1. 固定資産税通知書 の土地評価額を用意
  2. 評価倍率表 で該当する倍率を確認
  3. 固定資産税評価額 × 評価倍率 = 相続税評価額

例:固定資産税評価額が500万円、評価倍率が1.1の場合500万円×1.1=550万円 500万円 × 1.1 = 550万円500万円×1.1=550万円

この550万円が、土地の相続税評価額となります。


相続税の不動産評価額が分かったら?

ある程度の評価額が把握できたら、実際に 相続税の計算方法 をチェックし、相続税が発生しそうかどうかを検討しましょう。
もし相続税がかかる可能性が高いなら、生前贈与や納税資金の準備など、早めの対策を始めるのがおすすめです。
正確な相続税額を知りたい場合は、税理士などの専門家に依頼すると安心です。


まとめ

不動産の評価は、「相続税の計算方法」 を考えるうえで、最も重要なステップといえます。

  • 建物 は固定資産税通知書の評価額がそのまま相続税評価額
  • 土地 は路線価方式または倍率方式で計算(路線価図や評価倍率表を参照)
  • 概算が分かれば 相続税の不動産評価 がどの程度になるか把握できる
  • 相続税がかかりそうなら、生前対策や専門家への相談 を検討する

まずは、固定資産税通知書や国税庁のサイトで確認し、大まかな金額を掴むところから始めてみましょう!