離婚した相手名義の家をローンで買い取ることはできるのか?

マイホームを購入し、家族円満に暮らしていたものの、残念ながら離婚してしまうというケースは珍しくありません。
住み慣れた家で生活を続けるのか、リセットして新生活を続けるのか。
面倒も多いですが、新しい未来のために、過去はスッキリと処理してしまいましょう。

離婚で問題になるのが持ち家の処分

夫婦2人だけならいざ知らず、お子様がいらっしゃると通学の問題などもあり、単純に売って解決というわけにはいきません。
家の名義はご主人なのか、夫婦共有なのか、それとも奥様なのか、色んなケースがありますが、今回は家の名義は元ご主人で、住んでいるのが元奥様と子供、というケースでのご相談です。

※以下、元夫・元妻という呼称で表記していきます

離婚の原因はさておき、すでに離婚が成立しており、元夫は家を出ていき、元妻と子供が家に住み続けている、という状況。
とりあえず離婚は成立しているものの、養育費などは曖昧なまま、家のローンは元夫が払い続けているという状況が続いていたようです。

こんな状況で元妻からご相談がありました。

家は元夫名義でローンを組んでいるが、元夫は金銭にだらしなく、いつか払わなくなるのではないかと心配だから、自分名義に変えたい。
自分でもローンが組めるようにと、正社員として1年半働いており、1年分の源泉徴収票はあります、との事。

なるほど、それならローンを組んで、元夫が売主、元妻が買主として売買できるかもしれない、と取引先のローン担当者に相談をしました。
ところが、意外なことに「当行では受けられません」という回答が多かったのです。

意外な壁

理由を聞くと、いくら離婚していようが、「元夫婦」という事で、銀行としては親族間売買に該当し、住宅ローンの対象外となる、というのが金融機関の見解でした。
財産分与などの揉め事に加わりたくない等、理由は色々あるのだと思います。
まずは、現在住宅ローンを組んでいる銀行に相談しろ、と指摘されるのですが、もし元妻がローンを組めなかったらどうするんだ、という一面もあるため、軽々しく相談は難しいものです。

そんな中でも、離婚が成立して戸籍上の他人になっている者同士で、不動産業者が仲介した物件であれば住宅ローンを取り扱います、という金融機関を発見し、元妻の審査を申し込む事になりました。

取り扱い可能な金融機関は、かなり少ないように思いますので、この点は注意してください。

もうひとつの壁

さてここで問題があります。
一体、家の売買価格をいくらに設定するか、という事です。
ここで私の出番が回ってくるのですが、元夫との価格交渉です。

元夫は住宅ローンを組んでおりますので、その残債より低い金額で売るとなると、残債との差額を現金で穴埋めしないといけなくなり、さすがにそんな金額では承諾しないと想像はできました。
そこで、住宅ローンの残債と売却にかかる諸経費を合わせた額での売買でいかがですか、と提示させていただきました。
ここで、そんな金額で売らん、と言われれば骨肉の争いになりそうだったのですが、自分のお子様が住む事になる家ですし、自分の借金がチャラになるのであれば、それでお願いします、とご承諾いただけました。

買う側の元妻にとっても、相場より安く買えますし、売る側の元夫にとっても、負債がなくなるという事で、結果的にウィンウィンだったのではないかと思います。
元妻側からしても、周辺の賃貸を借りるよりも住宅ローンの方が安くすみますし、団体信用生命保険もあるので、家族は安定するはずです。

無事、売買価格の合意が取れましたので、その金額でローン審査をかけました。
元妻は住宅ローンを通すため、残業なども含めてしっかりと所得を出しておりましたので、特に問題なくローン審査も通過しました。

元夫婦間で不動産売買契約

売買契約については、お互いあまり顔を合わせたくないであろう、という事で、それぞれ別個に契約手続きをし、書類を持ち回りで署名・押印を交わしました。
引き渡し時も同席する事はなく、司法書士と私で連携しながら手続きを進めました。

無事に家の売買が完了し、希望通り元妻の名義に変更が完了しました。
元々住んでいる家なので、引き渡しって感じではなかったですが、とてもスッキリしたと元妻は仰っておりました。
お子様が、学校も生活環境も変わることなく、住み続けられる事には、離婚したとはいえ、父母のお子さまに対する愛を感じました。

これは今から4年ほど前の事例ですが、その後、何度か同じようなご相談をいただくケースがあります。
今や離婚は珍しくありませんので、今後もこういったご相談は増えるのではないかと予想しております。

元夫婦間で家を買い取る方法 まとめ

というわけで、離婚後に、分かれた相手から家を買い取りたい場合のポイントをまとめます。

一番肝になってくるのは自分の所得がしっかりとあるかどうか、です。
そもそも住宅ローンが組める状況でないと、話しになりません。
もちろん、現金があれば、一括で買い取るという方法があります。

次に、どの金融機関でも取り扱ってくれるわけではないので、そのエリアで取り扱い可能な金融機関を探してください。

最後に、元夫婦間売買になり、偽装を防ぐためだと思われますが、不動産業者の仲介による正式な売買契約書・重要事項説明書の提出を求められます。
信頼できる不動産業者(住宅売買に精通している会社がおすすめ)に依頼してください。

このような元夫婦間での不動産売買、当社では、愛知県内、大阪府内での物件取引実績がございます。
愛知県内で離婚後の家を売買したいと検討されている方はご相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

もちろん、慰謝料や養育費などの問題は専門外なので、弁護士さんにご相談ください。

新しいあなたの人生が幸せなものになる事を願っています。